くすもと動物病院
くすもと動物病院メルマガ(2018年2月)
2018年2月1日(木)

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暦の上ではもうすぐ立春ですが、まだまだ寒い日が続きそうです。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、腸内細菌叢についてお話します。腸内細菌叢とは、文字通り人や動物の腸内(小腸と大腸)で一定のバランスを保ちながら生息している微生物の集まりのことです。この腸内細菌叢には、どれくらいの数の微生物がいると思いますか。人でのその数は、100兆個以上といわれています。人の細胞数が約37兆個ですから、それの倍以上の微生物が我々の腸内に生息しているということです。犬や猫においての数は不明ですが、人と同じように多くの微生物が生息していると考えられています。
腸内細菌叢の乱れが様々な病気と関連していることが、最近の研究で明らかになってきました。そして腸内細菌叢をひとつの臓器として考えている研究者がいるそうです。
それでは、腸内細菌叢はどのような役割を担っているのでしょうか。腸内細菌叢には大きく分けて3つの役割があると考えられています。ひとつめは、消化の補助です。一例をあげると、人や犬・猫が本来消化することのできない食物繊維をある種の菌が消化することが分かっています。ふたつめは、病原体の侵入を阻止することです。簡単にいうと抗菌物質を産生する菌が生息しています。みっつめは、免疫を刺激することで病原菌を抑制します。ある種の微生物が腸管粘膜を刺激して粘膜免疫を高めることが分かっています。
つまり、腸内細菌叢を整えることで、免疫力を高め病気を予防するということもいえます。腸内細菌叢を整えること、簡単にいうと善玉菌を増やして悪玉菌を抑制するということです。それにはどうすればいいか。腸内細菌叢が乱れてしまった場合は、抗菌薬で悪玉菌を抑制します。それからプロバイオティクスとプレバイオティクスをおこないます。プロバイオティクスとは、腸内細菌叢を整える微生物を補給することです。つまり善玉菌の補給です。プレバイオティクスとは、善玉菌の餌となる物質(可溶性線維、オリゴ糖等)を補給することです。これらふたつを同時におこなうことで、腸内細菌叢を正常に保つのです。具体的な方法等、不明なことがありましたら、お気軽にお尋ねください。
なお当院では、寒くて外に出たくない犬や猫のご要望にお応えすべく、2月を往診推進月間として往診料をいただかないサービスを実施します。詳細はお尋ねください。
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